事故物件とは
殺人事件や自殺などあった物件のことです。
賃貸や売買の際には告知することが決まっていますが、この告知義務、実はどこまで告知するか厳密なルールがありません。
昨年10月に国交省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を制定しましたが、主に高齢者の賃貸物件への入居を促進するためのもので売買物件についてはこれまで通りです。
裁判所でも、どこまで告知すべきかは物件の状況によって判断が分かれます。
売買であれば、買主が居住用で買うのか商業目的なのかでも変わります。殺人事件が起こった物件でもその内容が凄惨な内容であれば告知期間は長くなる、というのが裁判所の考え方です。
少し前に、浦賀にある土地の売却を依頼されました。
40年前にアパートの一室で自殺があったという物件。
すでにアパートは取り壊されてその後は駐車場になっています。
売れそうになってもその事実を話すとちょっと気持ち悪がって破談になるらしく、売れないまま2年以上が経って困って相談に来ました。
40年も前、しかも更地になっている。
さすがにもう話さなくてもいいのではないか、気にする人もいないのではないか。。。とは思います。
でも、知った以上、それを隠して売却するわけには行きません。
価格も安かったのですぐに買い手が付きました。
買い手は業者。建売用の土地として買いたいとのことでした。
業者、「重要事項には自殺の件は書かないで欲しい。」
私、「いや、知っている以上書かないわけにはいかない。」
こんなやりとりがあって、結局、「私は言ったが重要事項説明書には記載しない」という覚書を取り交わして売却することになりました。
業者は2分割して建売として売却したようです。
2軒のうちのどちらかの家のあるどこか土地の上で40年前に自殺があった。
でもどちらの区画か分かりません。
売主の記憶もあいまいだからです。
業者は建売を買った人に言ったのか言わなかったのかは聞いていません。
さすがに40年前の話しです。
かというと、都心の商業ビルのケースでは、2年前の放火殺人は告知しなくていいという判決が下った例もあるとのこと。
大前提として契約者に不利な情報を知らされる制度があるとは言っても、どこまでいうかという線引きはすごく曖昧なのです。
では、買う側として事故物件をどうやって知ることができるか。これは案外大切なことですね。
最後に
ずばり「この物件に心理的瑕疵はありませんか?」と聞くのが一番です。不動産業者は嘘をつけませんからこれが一番有効でしょう。
「事故物件は絶対に契約したくありません!」と伝えておけば、それを言われた不動産会社は特に注意して事故物件を避けざるを得ません。
そして特に、メールなど後から見返すことができる手段で伝達すれば、ある意味証拠になりますので、安心ですね。